それでもボクはやってない

姉弟で仲良く図書館へ行こうと電車に乗ったら、
お姉ちゃんが「○ーくん、昨日の映画観た?」って訊ねてきた。
昨日は痴漢冤罪がテーマの『それでもボクはやってない』って映画がテレビで放送されていた。

「○ーくん、電車に乗るときは痴漢と間違われないようにしなきゃいけないんだよ」
と、お姉ちゃんに忠告を受けたので、どうすれば痴漢に間違われないのか悩んでいたら、
すかさずお姉ちゃんは僕の手を取り、
「この手をこうして…んしょ。この手も、こうすれば……大丈夫だよ」って、
おねえぱいこと両乳を、僕の手に鷲掴みさせた。

なるほど!
こうやって両手でおねえぱいを鷲掴みにしていれば痴漢のしようがない!
万が一痴漢の言いがかりをつけられ裁判になったとしても
“被告の両手はおねえぱいを鷲掴みにしており痴漢は不可能です”となる!

お姉ちゃんはさすがだなぁと感心しながら鷲掴んでいたのに、
次の駅で乗り込んできたサラリーマンに
「ち、痴漢だなッ!?そんな破廉恥なこと止めたまえ!」って怒られた。
お姉ちゃんが「○ーくんは痴漢じゃありません!私の弟です!」って怒り返したけど、
たぶんそのサラリーマンは悪くないと思う……。

そう、悪いのは電車を利用する人々の心に
疑心暗鬼の種を植え付けた、卑劣な本物の痴漢犯なのだ。
(よし。最後さえちゃんとしとけば感動的な文章になるはずだ)

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